金融機関における粉飾決算リスク管理の高度化

~金融庁モニタリングレポートを起点とした実務展開~
受講区分 会場
オンライン
開催日時 2025-12-12(金) 9:30~12:30
講師 有限会社竹橋経営コンサルティング
取締役(非常勤)
足澤 聡 氏

経歴:北海道拓殖銀行勤務を経て、金融庁・関東財務局で金融庁検査を指揮。退官後はプロモントリー・フィナンシャル・ジャパンで国内外の金融機関コンサルティング業務に就く。現在は、個人で粉飾決算関連の講演・研修を行う傍ら、竹橋経営コンサルティングの取締役(非常勤)として資金繰り予測を自動で行うクラウドサービスのサポートにあたる。
(社)地方銀行協会、(社)第二地方銀行協会、(社)CRD協会等での講演・研修実績多数あり、このほか(社)金融検定協会の検定試験監修も務める。
書籍:「仕訳で読み解く粉飾のメカニズム」(金融財政事情研究会) 通信教育「融資判断基礎講座(全3巻)」(銀行研修社)

開催地 カンファレンスルーム(九段プラザビル2階)
概要 【本セミナーで得られること】
・PLとBSが連動する仕組み(利益の偽装額=資産の嵩上げ額+負債の圧縮額)
・粉飾手口の4類型とそれぞれのBS上の特徴
・キャッシュフロー計算書をすり抜ける3つの代表的手口
・売上原価率を変えずに借入金を流用する方法
・粉飾検知に有効な主要経営・財務指標
・増加運転資金と粉飾の関係性の読み解き方

【推奨対象】
・金融機関の審査・融資管理部門・リスク管理部門、研修企画部門、経営企画部門(管理職・実務担当者)
・金融機関連携を行うITベンダー・システム開発担当者

【概要】
新型コロナ禍が一段落し経済活動が回復する一方で、粉飾決算に起因する倒産の増加傾向が続いています。注目すべきは単なる件数の増加ではなく、粉飾期間の長期化・規模の大型化・手口の巧妙化という質的な変化です。
たとえば、優良先と評価していた企業による超長期にわたる決算偽装、借入金の簿外化を通じた資金流用の繰り返し、架空売上を計上しつつ財務指標の異常値を巧妙に回避する隠ぺい工作といった事例が相次いでいます。こうした新しい粉飾の構図は従来型とは一線を画すものであり、発生原因の再検証と与信管理の再構築が急務です。
本セミナーでは、最近の粉飾事例の分析を通じて質的変化を明確化するとともに、金融検査マニュアル時代の与信管理を振り返りながら、現行管理態勢の課題を具体的に指摘します。また、粉飾の早期発見には「手口の類型化」が不可欠であることから、金融機関職員が苦手とする「取引仕訳」を用いて粉飾手口を4つのパターンに分類し整理します。これにより、キャッシュフロー計算書をすり抜ける粉飾の構造借入金簿外化による資金流用の実態も体系的に理解できます。
さらに、金融庁が2025年6月に公表した「金融機関における粉飾等予兆管理態勢の高度化に向けたモニタリングレポート」を踏まえ、予兆管理の実務マニュアルとして活用可能な内容に展開します。粉飾を「勘と経験」ではなく、「構造と指標」で見抜く力を養うことで、与信管理・リスク管理の現場における粉飾リスクの可視化、早期発見・未然防止につなげる実践的知見を提供します。
詳細 1.はじめに
(1)増加するコンプライアンス違反倒産
(2)金融庁モニタリングレポートの要点

2.与信管理の課題を探る
(1)粉飾の質的変化と金融検査マニュアルの振り返り
(2)粉飾決算の発見・予防に向けた与信管理の要点

3.粉飾の原因となる3つの要素
(1)粉飾の「機会」を増幅させる落とし穴
(2)金融機関における財務分析の弱点

4.粉飾解法のカギを握るBS・PLの連動性
(1)「取引の二面性」と「貸借一致の原則」
(2)粉飾は「貸借一致の原則」の箱の中で行われる
(3)PLが発生する4つの取引仕訳パターン

5.粉飾手口の類型化
(1)取引仕訳に基づく4つの粉飾パターン
(2)実際の粉飾は複数のパターンの組み合わせ
(3)負債の簿外化と資金流用の表裏関係

6.粉飾決算とキャッシュフロー
(1)キャッシュフロー計算書・経常収支比率の限界
(2)営業CFを増加させる粉飾手口

7.粉飾検知とリスク低減策
(1)粉飾検知のキー・リスク・インジケーター(KRI)
(2)リスクベース・アプローチによる粉飾リスクの洗い出し

8.まとめ

9.質疑応答
※セミナーの内容は最新動向を踏まえ変更となる可能性がございます。
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お問合わせ 株式会社セミナーインフォ  セミナー運営事務局
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