本格化するゲノム医療と倫理的な課題

~データの利活用と差別の防止~
受講区分 オンライン
開催日時 2022-07-22(金) 13:30~15:30
講師 東京大学医科学研究所
ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野
教授
武藤 香織 氏

(むとう かおり)
慶應義塾大学文学部卒業。同大学院修士課程社会学研究科、東京大学大学院医学系研究科博士課程を経て博士(保健学)取得。信州大学医学部保健学科講師を経て、現職。生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議、健康・医療戦略推進専門調査会、新型コロナウイルス感染症対策分科会等の構成員等として従事。学会活動では、日本学術会議連携会員、日本生命倫理学会理事、日本人類遺伝学会評議員など。
共編著に『医学・生命科学の研究倫理ハンドブック』(東大出版)、『改訂版 生命倫理・医事法』(医療科学社)、『男性も女性も知っておきたい 妊娠・出産のリテラシー』(大修館書店)ほか多数。

概要 近年、個人の様々な細胞のゲノムを調べて活用する「ゲノム医療」が推進されています。がんや難病の分野を中心に応用が進み、これまで診断できなかった病気の診断、その人に適した治療法の発見、その人がかかりやすい病気のリスクの発見につながっています。一方で、遺伝情報を活用するため、血縁者と共有する病気のリスクや、別の病気のリスクも判明するようになり、倫理的な配慮が必要な医療です。ゲノム医療の精度を絶えず向上させるため、リアルワールドデータの活用は不可欠であり、こうしたデータは関連産業の発展にも寄与します。しかし、利活用促進と同時に、個人の遺伝的特徴や遺伝情報を元にした不利益や差別を防止する必要があるため、諸外国では、個人情報保護法制とは別の法制度が設けられてきました。我が国では対応が進まないことから、2022年4月6日に日本医学会と日本医師会は声明を公表し、保険会社等事業者に対し、遺伝情報の取扱いについて開かれた議論を行い、自主的な方策を早急に検討し公表することを求めています。そこで、遺伝情報を活用する可能性のある保険会社等事業者が取扱方針を検討するための、基本的な知識をご提供いたします。

【推奨対象】
保険会社の引受・支払部門、企画部門、商品・数理部門、教育部門、コンサルティング会社
詳細 1.ゲノム医療とは何か?
(1)DNA、遺伝子、ゲノムとは?
(2)診療情報、遺伝情報、ゲノム情報とは?
(3)ゲノム医療をとりまく現状と展望
 (a)遺伝カウンセリングと遺伝学的検査
 (b)がんや難病のゲノム医療
 (c)超早期発見・介入に伴う課題
 (d)遺伝子検査・出生前検査ビジネスの課題

2.ゲノム医療のリアルワールドデータの活用に伴う課題
(1)「適切な同意」と「インフォームド・コンセント」
(2)公的データベースからの二次利用の道
(3)次世代医療基盤法から見た利活用の現状と課題
(4)個人情報保護法から見た利活用の現状と課題

3.遺伝情報に基づく差別の防止
(1)定義と差別防止の理念
(2)諸外国の法制度
 (a)北米(米国、カナダ)
 (b)欧州(フランス、ドイツ等)
 (c)東アジア(韓国、中国等)
(2)我が国での検討状況
 (a)政府や学術団体における検討の経緯
 (b)日本における意識調査の結果

4.事業者が踏まえておくべき未解決の倫理的な課題―未来の子どもたちのために

5.質疑応答
お問合わせ 株式会社セミナーインフォ  セミナー運営事務局
TEL : 03-3239-6544   FAX : 03-3239-6545   E-mail : customer@seminar-info.jp